黒猫は、自分が黒いと知っているのだろうか。
そんなことを、猫の毛づくろいを見ながら考えていた。
人間なら鏡を見て、自分の髪の色や服装を確認する。
では猫は、自分の見た目をどこまで理解しているのだろう。
「私は黒猫だ」
そんな感覚はあるのだろうか。
もし「黒猫」という認識がないのなら、猫はどんなアイデンティティで生きているのだろう。
またたびが好き。
嫌いな匂いがある。
心地よい敷物を選ぶ。
そんな感覚を大切にしながら、生きているのかもしれない。
もし猫が、人間のように、
「自分の容姿は変ではないか」
「自分は美しくないのではないか」
そんなふうに、自分自身を疑ったりせず生きているのなら。
なんと素晴らしい生き物だろうと思う。
今日も猫は、自分の毛の色に不満を抱くことなく、丁寧に毛並みを整えている。
ただそれだけのことを、静かに、真剣に行いながら生きている。
もちろん、他者の見た目を責めることもなく。
なんと素敵な生き方だろうか。
